ドライビット「アウサレーション®」世界標準の外断熱工法
サンクビット 世界標準の外断熱工法


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『建築技術』 別冊7 「結露防止の完全克服マニュアル」掲載
第8章−防露対策の実践例

透湿密着型湿式外断熱工法<ドライビット>の防露対策

1.外断熱改修の普及状況

 外断熱が話題になり、防露工事のため外断熱改修を検討されているケースも増加している。如何に結露を防止するか?RC建築で常に課題となるこの問いへの回答は「内側コンクリートを露点以下にしないように、湿式外断熱工法で全体を包み込む」である。欧米では常識化しているこの回答も、旧建築基準法時代の国内では、法的規制により普及しなかった。すなわち欧米では薄塗りが基本の湿式工法が日本では、外断熱防火認定とするため仕上モルタルを厚塗りとしなければならず、コストやクラックなど技術的課題が多かったため、普及しなかった。
  しかし基準法の改正(2002年5月末)により、欧米と同様にRC建築物を湿式外断熱工法で、新築・改装することが出来るようになってきた。大きな変化が始まったと言える。現在、国内では外断熱ブームや法改正に対応し、各社より様々な外断熱工法が開発されている。防露工事に関してもその対応工法や処置判断に関してはまさに「百花繚乱」の様相である。しかし建築工法は一朝一夕に完成されるものではない。
  世界の湿式外断熱工法と言えば、50年前より欧米で普及している工法であるが、長い外断熱の歴史の中で厳しい工法の淘汰があった。なかでも米国のドライビットシステムズ社のシステム製品「アウサレーション®」は過去35年間で46カ国に対し2.3億m2の実績を誇り、実質上の「世界標準工法」とも言われている。
  筆者の会社では、EV乾式外断熱工法とともに、このアウサレーション®を日本のディストリビューターとして販売している。法改正を受け、最近ではアウサレーション®で湿式外断熱工法を採用しようとする物件が急増している。なかでも、RCの既存集合住宅・戸建住宅や病院の防露を目的とした外断熱改修事例の増加が目立つ。

2.外断熱改修の具体的事例

 具体的事例をベースに湿式外断熱による改修の効果を検証してみたい。長野県の某総合病院の例である。築後約40年を経過しているこの病院は、当初アルミパネルでのカバー工法で改装を検討されていたとのことであるが、総合メリットの点で最終的に湿式外断熱工法(アウサレーション®)に変更となり、平成13年夏から暮れにかけて改修工事がなされた。
  約40年前の建築工法であることから断熱機能が少なく、改修前は病室内壁などに慢性的に結露が発生していた。病院側の要望もあり、防露・省エネ・室温安定・美装等を目的とした改修工事となった。断熱材は55mm厚みのビーズ法による透湿発泡ポリスチレンボード(EPS)*が使用された。本計画の主旨により、お茶の水女子大学生活科学部田中辰明研究室が改修前後の院内環境や省エネの実態を調査を行った。(注*:EPSは製造時にフロンガスを全く使用しない。)

施工内容

 施工現場では、事前の調査・診断にもとづき、タイルの剥離防止処理や下地処理、耐震補強処理がなされた。外断熱工事では、断熱材EPSの表面に透湿接着モルタルを付着させ、断熱材が既存RC外壁のタイル面躯体へ接着された。躯体へ接着された断熱材表面の平滑性を整えたあと、コテ作業により、ガラス繊維補強メッシュと透湿接着モルタルとで断熱材を包み込んだ。最後の仕上げ材は、タイル目地テンプレートへの吹きつけ仕上げによる疑似タイルで仕上げられた。洗練された施工方式で、外断熱工法の3要素「高断熱・適度な透湿・上階への延焼防止」を確保した工法である。

調査結果

  1. 省エネ:サーモカメラ診断による、改修前後の建物放熱状況の診断調査結果を写真2に示す。工事直後の冬季での、断熱改修病棟と改修してない隣接病棟で、それぞれ南側外壁表面温度を測定した。改修していない面が赤く(+6.0-7.1℃外気温度より高い)大きな放熱を示し、断熱改修した面は青く(-1.5℃の外気温度とほぼ同等)外壁での熱損失が少ないことを示している。省エネの全体的な効果に関しては、開口部など、建築・設備・その他要因を考慮する必要があるが、少なくともこの放熱量の差だけの省エネ効果は確認できる。この表面温度状態により、RC建築物の劣化要因である外壁RCの温度変化の抑制が確認され、建築物の寿命延命効果が推定できる。
  2. 院内環境調査:図2・3は真菌の比較を行ったもので、改修前年の5月と、改修直後の1月に測定した結果を比較したものである。改修後は真菌数が減少していることが明らかである。カビや真菌の繁殖環境除去を目的とした室内の結露防止が完全に達成出来たことが確認された。真菌が健康に良くないことは、医学書を調べるまでもなく明白である。特に病人など弱者にとっては、個人差もあるが場合によっては生命にかかわる影響を持つことさえ考えられ、その抑制は大きなメリットである。
  3. 室内温度状況:図4・5は室温変化を示す。空調設備が改装と同じであるにもかかわらず、室内の温度環境がかなり改善されていることが明らかである。

 このような歴然とした湿式外断熱での改修効果により、最近では住宅のみならず、病院関係者・施設関係者からの照会も増加している。

3.湿式外断熱工法の防火性能について

 現在基準法改正を受けて、国内の各地で多くのドライビット湿式外断熱工法を取り込んだ設計が行われており、確認申請時には下記のような内容を建築主事に説明し、認可をいただいている。

1)
法規定の耐火性能:建材試験センターが定めた同評価業務方法書に基づいた品質性能試験報告書での耐火試験に合格
2)
確認申請時の「消防同意」に関する技術説明:建材試験センターによる国内証明を受けた延焼拡大防止性能に関する米国ICBO-ERの認定
この中には下記事項が含まれている。

1.
上階延焼防止試験:多層階防火試験*(下層階からの上階への火災延焼防止性能)
2.
輻射熱火炎伝播試験:輻射加熱露出試験(隣接建物火災からの輻射熱延焼防止性能)
3.
発煙防止性能:トンネル試験(内装天井などでの被試験体燃焼時の発煙性・延焼性)

注*:磁器タイル等の接着禁止:ドライビットは上記多層階防火試験の条件から外れるため、外断熱構成材の表面へ磁器タイル等の不透湿・重量材料を接着することを禁止している。火災時のタイル落下による二次災害の原因となり耐久性等が損なわれるからである。米国でも本物志向は強いだけに重要な禁止事項となっており、その分外断熱仕上材意匠表現力は多種多様である。

4.グローバリゼーションと基準法の改定

 外断熱改修では、居室環境・省エネ・室温の安定・室内空気環境の改善・居室面積の拡大・建築寿命の延長・外壁部の遮音性能の向上など、各種のメリットが報告されている。
  日本国内でグローバリゼーションの流れに沿って、建築基準法が改正され、建材試験センターの海外性能評価内容証明事業がスタートし、海外で評価を受けた製品や工法を国内で使用しやすい環境が整った。
  法改正は外断熱改修を促進し、今後大きな成長分野となっていくものと思われ、上記のような防露工事事例が増加した場合、省エネ・住環境改善・改築市場増加による経済効果など、計り知れない波及効果が地域単位で期待できる。欧米の長い建築文化が育てた外断熱技術やその法的評価基準等が積極的に導入され、健全な国内活性化につながるよう期待したい。

[ データ提供 ] お茶の水女子大・田中辰明研究室