ドライビット「アウサレーション®」世界標準の外断熱工法
サンクビット 世界標準の外断熱工法


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『建築技術』掲載

環境にやさしい外断熱工法<ドライビット>

外断熱はなぜ必要か

欧米事情から感じる外断熱の意義
 筆者は、昨年の6月に市場状況の調査のため、スウェーデン・ドイツに出張した。北欧の外断熱事情を調査し、同時に両国の建設省関係者や断熱関係の研究機関も調査した。ドイツの調査では、私たちは政府の住宅関係事務官(*1)から約3時間にわたって、熱心に環境問題や外断熱に関してドイツ政府の省エネ・健康住宅政策の説明を受けた。(写真1【省略】)
(*1:建設省技術部エネルギー利用合理化対策担当:ハンス・ディーター・ヘークナー主任検査官)。
  ドイツ政府は22年間のあいだ、国をあげて外断熱改修を推進し、新築に対しても厳しい省エネ基準を設けて、国民の住環境の改善と省エネを強く押し進めている。そのことが現在行われている地球温暖化防止政策や原発廃止政策へ繋がっている。
  一方、スウェーデン政府も同様の理由で、外断熱の改修・新築に力を注いでいる。厳しい自然環境でありながら、現在では環境に対応した、世界的にも豊かな福祉国家の都市インフラを構築している。
  ドイツで最も注目されたのは、建築市場の8-9割を占める改修市場である。透湿型薄塗り湿式外断熱工法による大型断熱改修プロジェクトが、継続的に進められており、都市のエネルギー環境がこの22年間で大幅に改善してきていることである。しかし、昨年の時点ではこの湿式型薄塗りの外断熱工法は、国内では旧建築基準法の制約があり、すぐには国内へ導入出来ないことを確認した。せっかくドイツ政府建設関係事務官に、長時間にわたって湿式工法で外断熱改修プロジェクトを国が推進することの意義の説明を受けたのに、すぐに国内導入出来ないことに両国の建築関係法規の違いを知り、残念に感じた。

実務面での「断熱設計上の混乱」

 徐々に増加しつつある外断熱の打ち合わせ現場では、いくつかの混乱・誤解も見受けられる。特に、良く出てくる混乱を二つ紹介する。
1)目標断熱厚み
  まず、昨今の高断熱・高気密化の中で、次世代省エネ基準の要求する断熱性能が、最適な外断熱の要求レベルととらえる人が非常に多いことである。確かに、外壁の熱貫流率は断熱材がRC壁の外側であろうと内側であろうと同じである。次世代省エネでは内断熱と外断熱で、それぞれ基準値を設定してあるために、迷いもなくその基準を外断熱の目標値とされるケースが多い。(次世代基準は室内外での熱貫流率を基準に設定されている。)
  内断熱の建物では、実質的な断熱目的は「間欠空調での在室負荷時の室内空間と外部空間との断熱」であり、断熱目的の負荷対象が人や内装資材や家具などと空気がメインである。
  一方、外断熱では主な断熱目的は、在室・非在室を問わず蓄熱(蓄冷)RC躯体自体である。したがって、断熱性能の差は、省エネや躯体の湿熱環境に対し、内断熱以上に大きく影響してくる。しっかりとした断熱は、外断熱建築ではより重要となる。
  後述するシミュレーションソフトでも、必ずしも次世代基準が十分な最適基準とならないことが確認できる。不十分な断熱厚みの外断熱建築物は、冬寒く暖まりにくい居住空間を提供することになるが、「次世代をクリアしているので十分」として計画されている物件は多い。断熱厚みと断熱コストは比例関係となならないため、是非とも外断熱建築では、経済性や快適性を考慮した最適厚みの検証は行ってほしい。

2)蓄熱体の効果
  外断熱のメリットの多くは、RCなど躯体の蓄熱容量によりもたらされる。冬の昼間の日射入熱を外断熱保温することで、夜の空調費を節減できるなどである。
  しかし、この蓄熱効果を定量的におさえて設計することはあまり行われておらず、形態概念としての外断熱工法のみが重要視されていることが多い。エンドユーザーの意識も「蓄熱を意識した要求」までは及んでいないケースが多い。 そのため例えば、RC集合住宅や施設の場合では建築方式がすぐに外断熱に切り替えられないこともあり、木造外張り住宅がヒット商品となりつつある。

建築基準法の改定による大きな変化

 実際に旧建築基準法の縛りの中で、RC建築への乾式のEV外断熱工事受注や資材販売などの事業活動を展開していると、以下の3つの障害により、施主や設計者・施工者とともに、あらためて外断熱建設の課題を認識した。具体的に例を挙げると、

  1. 二重壁によるヘビーデューティな仕様はコスト負担が大きい。
  2. 欧米同様国内の最大の外断熱市場は「外断熱改修」であるのに、乾式や旧来の外断熱防火認定工法では改修対応がしにくい。
  3. 外断熱の設計にあたっては、地域や気候・生活様式等個別のニーズに合わせて、断熱・蓄熱・庇など建築仕様を旨く設計してやることが重要だが、実施例も少ない中その対応方法が判りにくい。

 このような環境の中で、建築基準法改定の具体的内容が明らかにされてきた。グローバリゼーションの影響を受け、行政指導等の廃止により、旧来の外断熱工法の防火認定制度は失効した。新法のもとでは「すでに存在する耐火躯体に対し、あと施工方式の外断熱工法も、耐火躯体と一体のものとして、構造の性能(火災に対する非損傷性・遮熱性など)を評価すること」となった。
  この大きな環境変化の中で、「これまで不可能であった国内のRC耐火建築物への、湿式外断熱工法の適用」が可能となった。すなわち、ドイツや米国、その他の多くの国々と同様、国内でも湿式外断熱工法の実施が可能となり、実用的な外断熱改修・外断熱新築も展開可能となった。積極的な省エネ環境対策のための外断熱改修や住環境改善を目指し、結露防止のための外断熱改修が国内でも可能となったのである。

熱橋のない断熱、水蒸気理論に適った透湿

米国が育てた世界の湿式外断熱工法:ドライビット「アウサレーション®」
透湿・密着型の湿式外断熱工法は約50年以上の歴史を持ち、現在では7割以上と欧米で最も普及した工法である。中でも米国ドライビットシステムズ社は、この湿式外断熱工法で揺るぎない地位を占めている。特に非木造住宅向け湿式外断熱工法<ドライビット・アウサレーション®>は、世界へ展開している商品である。
  この工法は透湿性ビーズ法ポリスチレンボード(EPS)を断熱材に使い、左官作業と一部塗装作業で仕上げる工法である。ビーズ法EPSは国内ではその9割が梱包材・魚箱などに使用されているが、欧米では6-7割が外断熱用の断熱材である。施工現場では、断熱材の表面に透湿接着モルタルを付着させ、断熱材をRC躯体へ接着する。左官のコテ作業で、ガラス繊維補強メッシュと透湿接着モルタルとを一体化させ、断熱材表面へ薄く仕上げる。最後の仕上げ材はコテで塗り上げるタイプと、ローラー仕上げによる塗装タイプがある。洗練された施工方式で、外断熱工法の3要素「高断熱・適度な透湿・上階への延焼防止」を確保した工法である。現在では、ドライビット社だけで北米・中近東・南米・オセアニア・東南アジア中国など世界46カ国以上に、年間1千4百万m2以上を施工し、35年間累積約2.3億m2の販売実績がある。生産も米国5拠点の他・カナダ・ポーランド・中国の計8拠点で行い世界標準外断熱工法といっても過言ではない。

<ドライビット・アウサレーション®>の特徴を以下に列挙する

  1. 高品質の外装が低コストである。外装の基本性能(防水・耐風圧・耐久・断熱・意匠性等)を確保しながら、水蒸気によるトラブルも排除。
  2. 軽量で地震での脱落がない。(@50mm厚みEPS仕上げ、被覆側メッシュ樹脂モルタルとEPS接着樹脂モルタルを合わせても約8Kg/m2)。
  3. 上階への延焼に対する防火性能に優れている。実質上の多層階外装防火国際評価基準である多層階防火試験(現ISMA)に合格。世界各国の防火規制に適合。
  4. デザイン表現力が高い。テクスチアーは5種類以上あり、標準24色(全355色)の組み合わせ。断熱材EPSの熱線加工により2次元や3次元凹凸仕上げも可能。
  5. 熱橋無く省エネ効果が高い。特に改装による省エネ・住環境改善では効果大。
  6. 改装に適している。施工時に騒音問題が少なく、入居したままの改装が可能。
  7. 汚れ防止機能と防カビ機能を有している。メンテナンスに有利。
  8. 耐衝撃性が良い。日常用途で発生する台車等の衝撃にたいしても損傷しにくい。

外断熱の設計
図3:ドライビット「アウサレーション®」の開口部断面図
・ 日本でのドライビット・アウサレーション®製品情報掲載サイト:http://www.cinqvit.com/
・ 米国ドライビット社の情報サイト:http://www.dryvit.com/

外断熱シミュレーションソフト

 外断熱の設計検討段階では、「外断熱の抽象的なメリットは良く聞くが、実務設計では建物の場所や方位・断熱材厚さや開口部等、各種条件での性能予想が困難であり、施主へのプレゼンが難しい」などの声が良く聞かれた。
  建築家が外断熱建築の設計を行うにあたり、外断熱の設計をサポートするシミュレーションソフトを希望されるケースが増加している。
  そこでわが社では、外断熱ブームの立ち上がりに対応して、外断熱の設計をサポートするPC用ソフト「ソトダンデザイナー」を、昨年11月より販売している。外断熱設計経験の少ない設計者への温熱環境設計支援シミュレーションソフトである。

パッシブデザイン設計支援ソフトの応用版

「ソトダンデザイナー」は小玉祐一郎神戸芸術工科大学教授(前・建設省建築研究所)や武政広島県立保険福祉大学教授らが開発したパッシブデザイン設計支援ソフトの応用版である。外断熱建築物はパッシブメリットを期待出来るが、このソフトは非定常熱環境をPCで簡易に予測しながら、最適な外断熱設計を目指すために開発された。室温や各部位温度の経時変動を予想するとともに、暖房負荷も予測する。これによって設計者は設計の初期段階で対話的に検討を行い、断熱や集熱、蓄熱の方針を定めることが出来る。最適な外断熱建築の設計立案検討に有効に利用でき、以下の特徴がある。

  1. 断熱、集熱、蓄熱のための建物形状、仕様を対話的に3次元で簡易入力(図5、6)【省略】
  2. 外断熱設計のポイントである夏の室温上昇や昼夜の温度変化もチェックできる(図7)【省略】
  3. 三全国840地点のAMeDAS気象データを基に作成した、月ごとの標準的な気象パターンが選択でき、地域特性に合わせた設計が可能(図8)【省略】
  4. データ管理ソフトが内蔵されているため、設計仕様決定の経緯など、データ記録管理の省力化
  5. 視覚的に有効なプレゼンが可能:計算結果をCSVファイルに出力できるので、年間の冷暖房量(費用)の予測(図9)【省略】や月別室温等の推移をグラフ表現(図10)【省略】でき、プレゼンに威力を発揮(ユーザーが表計算ソフト等を活用してカスタマイズ。)
  6. パッケージには外断熱設計マニュアル(約200頁)が同梱。マニュアル自体が外断熱設計ツールとなる

・ユーザー交流サイト:ソトダンフォーラム(http://www.sotodan.com/) にて課題の多い外断熱建築の設計や施工そして購入や改装に関する情報を提供
  このソフトの利用により、今後建築家が外断熱の建築をエスキス検討していく場合に必要となる湿熱環境の予測は、かなり具体的に可能となる。

湿式外断熱工法の防火性能

ドライビットの防火性能
 ドライビット「アウサレーション®」の営業時に受ける質問で、最も多い質問が「防耐火に関する質問」である。発泡系の断熱材料を使用した湿式外断熱工法では、下記の二つの防耐火性能が重要視される。

  1. 下地防耐火壁への「非損傷性・遮炎性・遮熱性等の悪影響を与えない防火性能」
  2. 多層階建築物での「上階への延焼に対する防火性能」

 改正後の基準法では上記1)を証明することが法的に義務づけられている。一方、2)に関してはまだ明確な基準は設けられていない状況である。すなわち1)がクリアであれば湿式外断熱工法の耐火外壁への適応はOKというのが、新基準法の考えとなる。
  防災上の観点では2)も非常に重要な性能である。湿式外断熱工法が35年以上前より普及している米国では、1980年代初め頃、この防火規制のあり方をめぐって世論が高まりを見せ、実証主義を旨とした多層階防火試験が誕生した。(写2)【省略】
  ドライビット「アウサレーション®」は、既に当時から米国湿式外断熱工法のリーダー的存在であった。そして、米国建築行政府が創設した過酷な防火試験であるこのテストに最初に合格している。その後、試験法が改良され、現在では同試験法はより便宜的な「ISMA(中規模多層階防火試験)」に置き換えられているが、目的とする評価内容は同じである。(図11)【省略】
  これらの試験をドライビット製品が合格するポイントは、・断熱材であるビーズ法ポリスチレンボードの持つ自己消火性難燃性能と、・ドライビット樹脂モルタルでの端部メッシュ巻き込みによる全面包み込み(溶融EPS被覆での延焼拡大防止)である。この二つのポイントにより、ビル外装に求められる延焼防止性能が確保されており、従ってこれらは設計施工上の配慮事項となる。
  最近日本国内でも通気層に接したEPSの防火性能が議論されている。ドライビットアウサレーション®の防火性能のポイントは自己消火性能を有するEPSをガラス繊維メッシュによるモルタルで包み込むことであり、通気層にEPSを露出すると防火性能は低下する。

米国での湿式外断熱工法の要求性能基準
 米国には現在西部地区の基準法といえるICBO、南東部のSBCCI、北東部のBOCAと3つの地域で、建築の基準法規が異なっている。それぞれの法基準にて湿式外断熱工法の外壁仕様基準性能(耐風圧・防水・塩水噴霧・耐水・凍結融解・防火・耐衝撃性・透湿など)が規定されている。
  地震の多い西部のICBOは、その中でも最も防火基準が厳しい。そのICBOは1983年にその基準を見直し、防火性能上全ての外装用湿式外断熱工法は下記項目をクリアすることを基準に盛り込んだ。

  1. 下地外壁の耐火性能(1時間、2時間)を損なわないこと…国内の耐火性能試験と類似(図11)【省略】
  2. ASTM E-84のトンネルテストにて「SDI発煙係数450以下」「FSI火炎伝播25未満」は米国での最もオーソドックスな内装材材料試験であり、室内火災の燃え広がりや発煙状態の防火性能を評価する。
  3. 多層階防火試験(もしくはISMA)をクリアしていること。(図12)【省略】
  4. 単位面積あたりの燃焼発熱量負荷が6,000BTU/ft2以下であること。(3)はBOCAやSBCCIでは修正E-108の合格データでも代替可能、はBOCAやSBCCIでは修正E-108の合格データでも代替可能、4)はSBCCIでも要求)

 ICBO-ES(評価サービス)にて「湿式外断熱基準合格」となっていることは、単に防火性能(耐火下地の非損傷性等と、上階延焼防止性能など)を有しているのみでなく、耐風圧や防水・耐久性・耐衝撃性など湿式外断熱外装に求められる全ての基準をクリアしていることを意味している。ドライビット・アウサレーション®はこのICBO-ESの新湿式外断熱基準が設定された年に、本基準認定を取得した。このことは防火のみならず、湿式外断熱工法の全ての基本性能要求を満たした工法であることの証明となる。

ドライビット仕様と法規制
 ドライビット「アウサレーション®」は現在米国のみならず、世界46カ国へ輸出されているが、このような湿式外断熱工法の新規技術商品が輸入されるにあたり、事前にその国の防火法規などが上記ICBOなどに準拠して、見直されるケースは少なくない。新技術に併せて国の法環境も変化する場合がある。

RC建築の改修市場の変化
 国内では、これまでRC建築の改修と言えば単に塗装や、h水シールの打ち替え・タイルの落下防止などの美装や安全・漏水対策が主な改修目的であった。ドライビットなど、世界の湿式外断熱工法による集合住宅や福祉施設などのRC建築物の改修が可能になると、省エネ・住環境改善・建物劣化防止などとその改修メリットが大きくなるため、地域単位でとらえた場合、大きな意味合いが出てくる。そのためドライビット製品の輸入を始めた国の例では、建設関連省庁を中心に行政サイドでの迅速且つ積極的な政策対応を進める例が多い。例えば、お隣の中国でも6-7年前よりドライビットの官公庁所有官舎への改修プロジェクトが積極的に進められており、国家的規模で、都市単位でのエネルギー事情や住環境事情を大きく改善されている。(写真2-4)【省略】
  国内の場合、本年5月末に行政指導(建築指導課通達)による外断熱防火認定工法が完全失効されるため、今後上記湿式外断熱工法適用にあたっての、建築主事などによる判断基準が論議の対象となると思われるが、海外の20年以上に及ぶ、防火法規の推移状況を参考に、的確な地方行政の判断基準環境が整うことを期待している。

グローバリゼーションと基準法の改定
 最後に、「なぜグローバリゼーションの中、基準法は改正されたのか?」を再度考えてみたい。
  法改正は、国内RC建築の外断熱改修導入や低コスト新築外断熱の展開上意味深いものがある。地球温暖化防止や100年建築、健康住宅を目指す各種業界・各種関係者にとって、今回の基準法改定に伴う世界の湿式外断熱工法の許容は、国内建築市場を、スクラップ&ビルトから環境適応型サスティナブルな外断熱改修市場へと、変化していくものと思われる。この新市場の創造は、急激な構造変化で失業問題が浮上している建築業界では、期待出来る成長分野になるものと予想される。私たちもソフトの販売や製品販売の立場から、この国家的市創出に一役買いたいものである。